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あー、とか、うー、とか、いー、とかいう日々を送っている。
あー、とか、うー、とか、いー、とかいうためにも、正解がわからないものたちからこれしかないと胸を張るためにわからないなりになにかを掴む日々だ。進んでいる気がしない。
新しい音楽も、新しい映画も、新しい本も、新しい人間関係も、こんなもんか、という範囲に収まってしまっている。何も面白くない。何かを得ようと動くと、何も得られないのはなぜだろう。自分の作品も面白くできず、どれも誰でもこれくらいはやるよな、の最低ラインを低空飛行している。そして、こんなもんじゃないだろう、と言い訳をしたい自分がいる。そのことに立派に腹が立つ。何をしてもその時のベストだったと思えない自分がいて、もしかしたらもっと上手くいった、もしかしたらこんなミスはしなかった、ミスをした自分を自分のことだと思えずに、本当の自分はもっと完璧なんだと思っている。そして、そんなわけはなく、もしかしたらミスがなかったなんてことは一瞬も1ミリも一切もなく、この小さくよわっちい輪郭がわたしなんだと社会人を10ヶ月して思い知った。
わたしは会社を辞めていて、辞めた理由も大抵、何にもできない自分が居た堪れなかったからだ。

あの時期のような、喉をかき切って出た言葉が、今は空気と言葉が溶けているような気がしてとれない。それに気がついても何の疑問も出ない。こうやって疲れては泣きながら文章を書いて、自分のよわっちい輪郭を掴んでは殴って、殴っては泣いている。何の涙だよ。泣くより明日の生きる銭を稼げよ。偉人の引用なんか持ってきて馬鹿みたいだけどそれ以外を知らないから口の中が気持ち悪い。「太陽を追いかけて写真を撮っていると生きているって感じがします」なんてことを恥ずかしげもなく言えないからわたしはここにいるんだと思う。普通にスーツ着て、普通に遅刻せずに、普通に彼氏がいて、普通に幸せでいたかった。オリジナルな不幸はいらない。コピーの幸せが欲しい。アカウントとアイコンをコロコロ変えていいのは高校生までで、その時全部消した言葉たちのことを思い出せない。でもあの時ちゃんと殴ると決めて、ちゃんと殴って良かった。あの時ちゃんとシャーペンをノートに突き刺してドスドスいってて良かった。わたしがなれないあの人たちのことを思う時、わたしは2年片想いした人を殴ったわたしと、教室に響かせたドスドスの音を思い出したい。全ては地続きで、死ぬまではあの時のわたしの延長戦だ。
ファンタジーですね^_^と言われた時に言い返せなかったこと。女の子が撮る作品だね、と言われた時にも言い返せなかったこと。よわっちいわたしを殴れる限り殴って出てきた作品ですよ、と、次は言葉にする。写真は光と影で、言葉は記号だから。だってあなたもそうじゃないんですか。圧倒的になりたいと言っていた枝監督の言葉が今やっとわかって、全員写真でぶん殴るしかないと思った。いいものを置くだけでは売れないとわかった。ミスがなければ、の、もしも、もないこともわかった。そしてその妥協が作品を、わたしをダメにすることもわかった。発狂しすぎるくらいが普通だから、なるべく大きなラメのアイシャドウを塗る。またひとつ大丈夫になった自分で、生ゴミと一緒に服を捨てる。視界をあげると目が痛くなるくらい白かった。何編でも夏が終わる。夏の終わり。夏の祈り。上手に生きられないのに上手に狂えないから、わたしはわたしから退屈を奪わない。
2022.08.28