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白龍に入るとツンとネギの香りがして目がしょっぱい。「なんかよくわかんない場所になんかよくわかんないまま来ちゃったな」という感じがする。じゃじゃ麺が汁なし担々麺みたいなものなのは知っていたけど、トッピングやら味付けなどの一切の情報を入れず、「盛岡と言えばじゃじゃ麺」「そしてマップに載ってて開いているじゃじゃ麺はここ」で白龍まで来てしまった。3年前に盛岡に来た時に行った中津川の隣だった。さっきまで福田パンのあんバターを食べていたのでお腹が減っておらずじゃじゃ麺の小を頼み、目の前に置いてあった「じゃじゃ麺の食べ方」を読む。よく混ぜて・ラー油がとにかく辛いのですこしずつ入れて・ちーたんたんという卵スープもある・初めての人は店員に食べ方を聞いてと書かかれており、出てきてどう手をつけるのかわからなかったら店員さんに聞こうと待った。麺の茹で上がりまで15分かかるらしく、しばらくぼーっとしていると店員のおばさまに「あったかいお茶と冷たいお茶、どっちにする？」と聞かれた。「あったかいので、お願いします」と伝えた。すぐにおばさまが出してくれたのだが、お饅頭ほどの大きさの湯呑みを右の手のひらに乗せて片手で出してきた。頭にチャイナ帽やお皿が乗っていないか確認したがなかった。おばさまの風貌も相待って、なんだか侘び寂びのある「アチョー」のポーズだった。「なんかよくわかんない場所のなんかよくわかんないルール」が妙にしっくりくる人。おばさまはついでに隣の人の湯呑みまで同じポーズで渡してきて、厨房へ帰って行った。理帆子の言うSF(すこし不思議)ってこういうことなのかもしれない。じゃじゃ麺はそこまで美味くなく、これは2度目はないなと思った。元も子もないがあの日の麻婆豆腐を超えないと美味しいと思えなくなっている。でもここまで来たのなら、とちーたんたんというじゃじゃ麺をすこし残して机に備え付けの生卵を混ぜて店員さんに渡すと卵スープになるやつも食べたけどそれもあったかいだけが取り柄であまり美味しくなかった。お腹がいっぱいなのでこれを書きながらホテルへ直帰する。ここまで美味しくないなどと書いておきながら、ネギの匂いが残る口で「年始から龍は縁起がいいな、ふむふむ」など思っている。プラマイギリマイナス。たはは。当てずっぽうは続く。